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20歳代女性は標準体重より20%も軽い“やせ=痩身”の人が増えているのと裏腹に4人に1人が朝食を摂らないという驚くべき
調査結果があることを前回も紹介したが、若い女性の間違った“痩せ”指向は確実に心身の健康を蝕んでいくのは明らかだ。
しつこいようだが、ここでもう一つの調査結果を紹介する。日本学校保健会の調べによると、女子高生の何と9割が当たり前の成長なのに
「太った」と悩む感覚が飽食の裏返しとして出てくるという。そうした思いが高じて摂食障害に陥り、「たべることへの罪悪感にちかづいて
ゆく」。そんな深刻な状況が報告されているのだ。
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こうした傾向はひとり日本の若い女性だけではなさそうなのである。スペインでは「痩せ」願望をあおる細身の衣服を陳列しないようにデパートが申し合わせを
しているということが報じられ、イタリアでは摂食障害が若い女性に多い死因の一つになっているといわれている(朝日新聞「天声人語」7月27日付)。
あのイタリアで…。私は終戦直後に大ヒットした映画「苦い米」(デ・サントス監督、1948年作)を思い起こす。
中学生になった年の夏に終戦を迎えた私ども年齢層の者たちは「苦い米」に生き生きとして登場してくるシルバーナ・マンガ−ノのショートパンツからむっちり
と伸びた太ももに、釘づけになったものである。その成熟した体はカメラワークの巧みさもあって、あっという間に世界の若者をとりこにした。
その肉体は、昨今のファッション・ショーの花形モデルと言われる人たちの痩身が人工的にみえてくるのに対して、マンガ−ノのそれは豊かな自然そのもの
として、異彩を放っていたものである。
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合理的な「痩せ」をめざすなら、まだ救われもするが、調査報告にもあるように、朝食を抜くという場当たり的な対処の仕方は危険である。それに加えるに、
こんな調査結果もあるのだ。厚労省研究班によって発表されたものだが、20代前半の女性の飲酒率が男性を上回り、多量飲酒率も20代前半の女性が上昇して
いるというのだ。
若い女性の社会進出に伴なって仕事も私生活も男女に差別がなく、飲酒の機会も増えるであろうと考えられているが、それならそれで結構なのだが、男性と
同じように酒によるメタボを気にするあまり「食」をないがしろにしてしまっては元も子もないというものだ。
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「食」の乱れが指摘されて久しく、本欄も「食」をめぐるマイナス面ばかりを指摘してきたようだが、しかしひところのグルメブームはやや落ち着きをみせ、
食べ物への関心が地に足の着いたものになりつつあるのはうれしいことだ。家族が食べる楽しさを分かち合い「食は天の恵み」であることを教えてくれる食育が
少しずつ自覚されるようになってきたのである。
こうした流れの中から、きっとあのはじけるような肉体美を誇示する“日本のマンガ−ノ”が続々と登場してくるであろうことを期待したいと思う。
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