2007年9月1日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
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 ★中国製と白い恋人 中国製の食品や加工用原料から発がん物質など有害物質が各国で相次いで検出されている。たまりかねて、世界は「メイド・イン・チャイナ」に自衛策をとり始めた。

 ―そんな矢先、北海道の銘菓「白い恋人」が消費者軽視の賞味期限をごまかして10年以上も前から“黒かった”ことが明らかになった。苫小牧のミート騒動についでの汚名を背負って何が中国批判だ。「白い恋人」がかつてのグルノーブル冬季五輪の記録映画にあやかったものであったことを思いだす。ところで、「順風満帆で会社が増長していたのかも知れない」とは創業家二代目社長の弁。グルノーブル五輪と北京五輪に、会社を中国に置き換えてみると今の中国がよくわかるような気もしてくる。

  
 ★大気汚染と放射能 「金持ちになれる者からなっていけ」。ケ小平の号令一下、怒涛のような勢いで成長の道を突っ走ってきた。そして北京五輪へ1年をきった。林立する巨大煙突が天空に向かってもくもくと黒い煙を吐き出して大気汚染は限界にきている。こんな自然環境のなかで、大会の花・マラソンは大丈夫か?

 ―と、そんな矢先である。新潟中越沖地震でクローズアップされた柏崎刈羽原発問題。7月に来日する予定だったサッカーのイタリア1部カターニアが“放射能ジャポネ”が怖いと来日を中止してしまった。放射能が漏れて1万人が避難していると誤った情報がながされ、これが選手の親たちの反発を招いてしまったようだ。「大気汚染チャイナ」より「放射能ジャポネ」のほうが怖いという話になってしまうのか。

 
 ★パニックよぶ情報 これはアメリカでの話。新婚旅行にでかけようとした男性(31歳、弁護士)が薬に耐性をもつ新型結核菌に感染していることが判明し、米保健当局から旅行自粛をもとめられた。しかしこのカップル、搭乗禁止をすりぬけてフランス、ギリシャに新婚旅行にでかけてしまった。この情報がアメリカに流れるや、あっという間に「細菌テロ」までとりざたされ、「結核パニック」に陥った。義父がCDC(米疾病対策センター)の研究員であることも暴露され、とうとう本人は自分の住むアトランタの病院に入院させられてしまった。この強制隔離は米国では44年ぶりの措置だという。情報におどらされた部分もあってこの新婚旅行騒動、笑い事ではすまなかったようだ。

 
 ★アンテナ・ストア 感染症をまるで先とりするように、町の薬局での風邪薬の売れ方からインフルエンザなど感染症の流行がいち早く察知できることがわかった。国立感染症研究所が2シーズンにわたってのデータを分析し、市販薬の「予知能力」を検証したのである。感染症の判断は正式の手順では、はやくても約10日かかるが、もっと早く分かればそれだけ予防態勢をとる時間的余裕が生まれ、地域住民の健康危機管理がより整備される。地域のドラッグストアはそのための絶妙のアンテナになるようだ。これも情報の話。

 
 ★愛煙家のスモハラ 「スモークハラスメント」の略。たばこを吸う女性は妊娠しても半数近くが喫煙しているというが、斎藤麗子・町田保健所長(小児科)は言う。「妊娠時の喫煙は、おなかの中で虐待しているようなもの」。これぞスモハラの極致―。

 
 
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