2007年8月1日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
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 ★仏の顔も三度まで 中国の国営遊園地がディズニーを"パクって"世界の物笑いになり、DVD海賊版も。次はペットフードや歯磨き粉に毒物混入事件があり、さらに偽食品が続々明らかになってきた。抗菌剤が検出された養殖ウナギ、サルモネラ菌に汚染されたスナック菓子、偽飲料水、偽ワイン…、そしてついに、そのおぞましさは書く気にもなれないほどの事件。ダンボールをどろどろに溶かしたものを肉まんの具に混ぜていたというのだ。これを作っていた業者がテレビで報道された。「コスト削減だよ」「自分では食べないよ」。―が、これが「やらせ」だったとの説も。まさに"百鬼夜行"だ。 
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先進国が食品の安全規制に乗り出したのに対して、中国政府はいろんな対抗措置をとっているが、一方では、ニセモノに対する民衆の意識を「後進国」と認めてもいる。そんなさ中、新薬承認をめぐりわいろを受けた国家食品監督管理局の前局長に死刑が言い渡され、2ヶ月もしないうちに死刑が執行された。管理体制不備への国際批判をかわす迅速な対応とみられているが、北京五輪を前に「格差」と「拝金」の歪みは深刻になるばかりだ。

 
 ★マゴットセラピー 「マゴット」とはハエの幼虫、つまりウジ虫である。このウジ虫が出す分泌液が抗生物質の効かない多剤耐性菌を殺菌する作用があるというのだから驚きである。昔、戦場で受けた傷にウジがわいた兵士の方が早く治ったことから、負傷兵の治療に使われたようである。なぜ効用があるのか?ウジ虫が分泌液をだして腐った組織だけを溶かして吸収する性質をとらえ、それを活用する方途が探られてきた。そして、糖尿病で壊死(えし)した足の壊死部分をウジ虫に食べさせて、健康な組織に戻し、足を切断せずにすむケースも明らかに。英ではこの治療に保険が適用され、米ではウジ虫が医療材料として認可されるようになった。そこに秘められた感動的な「自然との共生」の一幕。
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私たちはすでに、いうなれば「回虫セラピー」を知っている。藤田紘一郎・東京医科歯科大学名誉教授に『笑うカイチュウ』という快著がある。動物だけではない。藤本康雄・日大文理学部教授の研究によると、ツクシから抽出したエキスに抗アレルギー物質があることがわかり、このエキス入りの「花粉症アメ」を開発した。売行き好調で、あの夕張市シルバー人材センターでは「キロ500円でツクシ買います」と会員に呼びかけ、「いい小遣い稼ぎになった」と喜ばれたという。これぞ花粉症の人だけでなくシルバー世代をも応援する「つくしセラピー」である。ここにも「自然との共生」の一幕が―。

 
 ★愛煙家のスモハラ 「スモークハラスメント」の略。たばこを吸う女性は妊娠しても半数近くが喫煙しているというが、斎藤麗子・町田保健所長(小児科)は言う。「妊娠時の喫煙は、おなかの中で虐待しているようなもの」。これぞスモハラの極致―。
 
 
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