2007年5月1日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
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 ★AEDを商店街にも AED(心臓マッサージ機)の公共施設での備え付けが広まるなかで、経産省はさらに各地の商店街に置いてもらうために、費用の半分を補助し、全国普及をめざすという。受け入れる側も事前講習に本腰を入れれば、一部で危ぶまれているような「宝の持ち腐れ」にはならないはずだ。

 
 ★「赤ちゃんポスト」 熊本市は地元の慈恵病院からの「赤ちゃんポスト」設置申請を4月5日に許可した。と同時に子どもの遺棄を未然に防ぐ取り組みを拡充する方針だという。ヨーロッパでは母子の命を救う緊急性と成長してからの自分の出自を知りたいと願う子の気持ちをどう両立させるかが古くて新しい問題となっている。「匿名で置き去りは許されない」(安倍首相)か「暗部に目が届くまでに社会が成熟しつつある」(阪元恭子・ノートルダム清心女子大講師)とみるべきか。ちなみに神奈川県では「生み育ててよかった」と実感出来る「支援推進条例」を10月から施行するという。

 
 ★薬も効かない在庫品 昨年4月、処方箋を患者が後発医薬品を選び易い様式に改定し、これに応じて調剤薬局を中心にジェネリック(後発医薬品)を確保する動きになっているといわれているが、実際の使用量は期待ほど増えていないのが現状。後発医薬品大手の在庫水準が高まって不良在庫を抱えかねない懸念もでてきているようだが、そんなさ中、患者がその使用を医師に申し出ても無視されてしまったという投書(朝日・4月13日「声」欄)などを知ると、そのキーワードは「癒着」ではないかとさえ思えてくる。

  
 ★タミフル転落のナゾ 「癒着」といえばタミフル問題を直ぐ連想してしまう。厚労省は服用後の異常行動をとる事例をめぐって詳細な分析を行っていなかったのである。深刻な社会問題になってから、ようやく服用と異常行動の調査に問題点があったと認める(3月29日)始末。輸入販売の中外製薬〜副作用を調べる“お抱え研究班”〜後手後手の厚労省。こちらは不良在庫どころか、なにしろ世界の消費量の8割をしめるほど多用されているという“ヒット商品”なのだ。

 
 ★模擬病院がオープン テルモが医療機器の使い方を実習できる国内初の「模擬病院」を開設。手術室や病棟があり医療現場と同じ環境で機器を扱うことが出来る施設で、機器に不慣れな医師の医療事故を防ぐ教育の場でもある。自社製品に慣れてもらうことで販促につなげるのが狙いだが、こうした販促なら大いに声援したい。それからもうひとつ。周知のように看護師のなり手は減る一方で4万人も不足(平成18年12月現在)しているが、全国に1300校ある学校別同窓会をインターネット上に開設する会員サイトが登場した。この復職を促す情報交換の強力ツールを企画したのは異業種の旅行通販「SIC」。これまた販促を視野に入れたものだろうが、大いに結構。声援したい。
 
 
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