2007年3月1日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
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 ★もっと医療用麻薬を 厚労省はがんなどの痛みを和らげる医療用麻薬の規制をやっと大幅に緩和した。患者が自分の判断で使えるようになったという点でもその意義は大きい。ところが、医療用麻薬の知識を医師の半分は知らないとは、日本ペインクリニック学会(昨夏)での指摘。心ある医師はその国の医療用麻薬の使用量とその国の文化度は相関しているとも断言する。

 ――「患者は(そうした薬で)治療される権利があり、医師はそうする義務がある」(浜六郎)ことを改めて銘記したい。

 
 ★もっと後発医薬品を 後発医薬品(ジェネリック医薬品)の外来医療での使用状況は「処方箋への変更可」の処方箋を持参しても薬局で実際に変更されたのは1%未満にとどまり、約27%の薬局は患者に変更できることを説明していなかった、という調査結果が公表された。医療費削減のカギであるなら、そのカギはフルに使いたいもの。

 ――なぜそうした意識が低いのか。面倒くさい?ジェネリック不信?儲けが薄い?

 
 ★もっとエイズ情報を エイズ感染者が急増している東南アでの状況が改善されてきたが、問題は大国・中国。96年度に感染者は5〜10万人だったのが、05年には65万人に急増。なのに、支援に携わるNGO(非政府組織)の活動が、実態暴露を危ぶむ当局によってブログ削除や活動員軟禁などの締め付けが各地でおこなわれているという。

――目を転じると、中国はロケット発射基地を4ヶ所に拡充するなど、巨額の金を使い「国際的な威信を高める」そうだが、エイズをとりまく状況は?

  
 ★もっとがん攻撃力を 東大医科学研究所がヒトの遺伝子情報を徹底調査し、がん細胞のなかで活発に働く遺伝子を特定。それらを基にワクチンをつくり免疫細胞を活性化させることを検証した。その臨床研究のため、全国13の病院がネットワ−クをつくった。これほど大きな研究組織の構築は初めてのこと。数年後には手術後の再発予防を目的に接種する「がんワクチン」の実用化を目指す。

 ――平常細胞のなかではさっぱり働かないのに、がん細胞では一変して活発に働く遺伝子。まるで人間模様の一断面をみせつけられたような妙な気分だ。

 
 ★もっと暖冬に関心を 暖冬は地球全体に予想を上回る深刻な影響を及ぼしている。植物では都内で早くも1月末にスギ花粉が飛び、観測史上の新記録となり、動物に目を向けると、冬眠できないクマが鶴岡(山形)の県道や加美町(宮城)の空家など各地に出没。深刻なのは熱帯の蚊が日本で越冬しているのが発見されるようになったと報じられてもいる。この蚊、黄熱病やデング熱を媒介するというから、マラリアの流行も現実味をおびてくる。

――感染症もグローバル化なんて、シャレにもならない。
 
 
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