2007年2月1日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
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 ★ついに封じ込めず 鳥インフルエンザがついに日本上陸。先月は韓国、今月は日本の苦悩を書く破目になった。3年前に山口県で発生して以来、「できる手はすべて打って」、3年前を上回る厳戒態勢を敷いていたのに発生してしまった。それも「日付まで一緒」と農水省の担当官は肩を落とす。発生した日、「インドネシアまた2人死亡」と同国保健省の発表も報じられている。何としても「死亡」は避けたい。

 
 ★これも封じ込めず 世界の大打者ボンズ選手(ジャイアンツ)よ、お前もか!…である。興奮剤アンフェタミンに陽性反応を示したのである。青少年に夢を与える超一流アスリートが次々と疑惑の目で見られてしまうのは残念だ。日本ではようやく文科省が重い腰を上げ、医薬品のデータベースを作成し、関係者に情報を提供するという。来年度は8千万円を投じて検査を拡大するともいうが、結局はアスリートの自覚の問題であろう。

 
 ★これまた厄介もの 花粉症の季節がやってきた。都内では5人に1人、いまや「国民病」だ。環境省は花粉飛散状況を速報するインターネットのシステム「はなこさん」の観測点を拡大し、1日からその情報提供を始めた。花粉も鳥と同じで完全封じ込めは不可能。残るは個人の予防意識のみ。対策を早めに始めた人と、花粉が飛び始めてから実行した人とでは症状に差が出る事がわかっている。まずは体調を整え、手洗い、うがいで自己防衛だ。それにしても「はなこさん」とは、筆者の感覚から言えば失礼ながら落第点。

  
 ★「医師バンク」苦戦 深刻な医師、看護師不足で注目されていた「医療人材バンク」が大苦戦。引退医師、看護師が再就職しても「勘」を取り戻すのは大変で再教育が必要だという。現実は厳しい。資格があれば、と考えるのは“机上の空論”のようだ。看護師はさらに深刻。厚労省は10年までに11万人増員を目指し、推定55万人の「潜在看護師」を職場に呼び戻すというが数合わせでは何も解決しない。なぜ看護師は職場に戻ろうとしないのか?抜本的な労働条件の改善、裁量権の見直しが不可欠の前提条件となるはずだ。

 
 ★「家庭医育成」応援 先端医療の進歩には目を見張るものがある。患者一人ひとりに対応した究極のオーダーメイド治療が受けられるような夢物語がロボット工学や遺伝子解析といった先端技術によって現実化しようとしている。三重大学附属病院では昨年末、全国に先駆けて同病院に「オーダーメイド医療部」をたちあげた。そんな中で忘れてはならないのが「ホームドクター」。幅広い診療科目に精通し、一般的な病気を適切にケアし、その家族や地域の事情に配慮した治療を行う医師だ。その育成に頑張っているのが福島県立医大だ。こちらは「地域・家庭医療部」を新設、家庭医の育成に乗り出している。家庭医の効用は患者が集中しがちな総合病院の負担を軽くし、専門医はより高度な先進医療に専念できるということにもなるのだ。是非、成功してほしい。期待すること大である
 
 
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