2006年12月1日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
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 ★ジェネリック不振 後発医薬品(ジェネリック医薬品)が日本での市場に占める割合は米国の56%に対して僅か17%と、普及が進まない。医療費抑制を目指す厚労省としては放ってはおけないと、調剤大手を対象に聞き取り調査を始めた。厚労省は「後発品は先発品と同じ効果や安全性が確保されている」としているが、先発品メーカーの中には「後発品の品質が劣る」といった説明をしている例もあるという。

 
 ★ドーピングの不覚 9月の本欄でスポーツ選手のドーピング問題をとりあげ、ジョーンズ選手も疑惑の一人であったことを伝えたが、その後、陰性とわかった。同選手は「最高にうれしい」と喜んだ。シドニー五輪女子陸上三冠に栄光あれ!なのだが、その頃、今度は“空飛ぶ名馬”ディープインパクトから「気管支拡張剤」が検出され、問題視されていた。それがついに11月17日に失格処分が決定した。当然、凱旋門賞の賞金の支払いも停止された。当事者はこの薬がフランスでは禁止指定だったのをしらなかったというが、知らなかったではすまされまい。「ジェネリック」でもそうだが薬に対する欧米とのスタンスの違いはきちっと把握しておきたいもの。

 
 ★メタボリック脱出 「内臓脂肪症候群の予防には毎日1万歩以上歩きましょう」。1万歩と言われるとしり込みしてしまう人が多いかも知れないが、脅しでもなんでもない。名古屋大学の押田芳治教授(スポーツ医学)が日本肥満学会で発表した真面目なリポート。食べすぎなどで内臓脂肪がたまり、糖尿病や高血圧などになり易く、動脈硬化につながる危険もあるのが、メタボリックシンドローム。これを中年太りで腹がでて貫禄がついてきた…なんてシャレにもならない。

  
 ★ツボの位置を統一 はりやきゅうで使われるツボは361カ所ある。ツボ治療は約2千年前から行われ、各国で引き継がれるうちに位置や名称に微妙なずれがでていた。これをうけ世界保健機関(WHO)が国際的な統一を進めてきたが、どうしても合意できない6カ所については投票できめたという。このうち、動悸や精神的不安、高熱などに効くとされる「営宮」は日本や中国で古来引き継がれていた人さし指と中指の間の下の部分に統一された。伝統的な中国医学への関心度が反映され、統合医療推進のひとつのステップとなるであろう。

 
 ★結核死亡率が倍増 結核治療をはじめた人のうち1年以内に死亡する人の割合はこの10年で倍増してしまった。年間約2300人と、感染症のなかで最も多い。合併症も多く、結核の薬が効きにくい例も目立つという。患者の6割が60歳以上というリスクの高い高齢者に健診を促して早期発見してゆく必要があるのだが、老人医療費が“いじめ”られている中でのもう一つの厳しい現実が浮き彫りされているというものである。
 
 
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