2006年11月1日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
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 ★ちょい太(ふと)良好 スペインのファッション・ショーでやせすぎのモデルが出演を拒否された。「激ヤセをありがたがる風潮が若い女性の拒食症を招いている」というのがその理由。8月には南米ウルグァイで絶食中のモデルが出演中に死んだ事件があり、ロンドンでもモデルの「やせすぎ規制」の声が強まっているという。そんな折も折、『がんばらない』の著書でも知られる諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏が『ちょい太(ふと)でだいじょうぶ』(集英社)という本を出版した。ちょっと太めのほうが長生きしますよ、と呼びかけている。絶妙のタイミングであった。

 
 ★薄毛に飲み薬の効果 髪の毛の後退が気になる男性諸君に朗報…だったのだろうか。薄毛の進行を抑える初の飲み薬「フィナステリド(商品名「プロペシア」)が登場したのは昨年末だった。これまでの育毛、養毛剤が血行を促進し毛根にある細胞の活性化に主眼を置いているのに対し、この飲み薬は薄毛の一因とされる男性ホルモンの効果を弱める、というもの。病院で処方を受け服薬治療をする。半数程度は服用から3か月〜半年程度で改善がみられるともいわれているが、効果には差があり、服用者の満足度はまちまち。いずれ、効果や副作用については長期的に見てゆく必要があるという。

 
 ★正体みたりE型肝炎 てっきり海外でかかる病気と思われていたE型肝炎のウイルスが、じつは100年前に日本に侵入していたということが厚労省研究班の調査でわかった。明治時代に輸入されたブタと一緒に国内に入った可能性などが考えられるという。「輸入感染症」と思い込んでいると、足をすくわれる。近年、国内でも動物から感染することが明らかになってもいるのだ。

  
 ★後発医薬品の信頼性 特許切れの薬と同じ成分で価格の安い「ジェネリック医薬品」。これほど結構な薬はないはずなのに、不思議なことには、これの普及が進んでいないというのだ。現場の医師たちの実に7割が疑問を呈しているという調査(日本医師会)がある。どうやら品質や安全性に関する情報提供が十分ではないための結果であるようだ。「現行の試験に合格した後発品なら先発品と効果に差はない」「薬局の都合や怠慢で患者が高い薬を買い続けることがあってはならない」と緒方宏康・明治薬科大教授が苦言。ちなみに米では全薬剤の56%、英、独でも4割以上と、その普及は進んでいる。

 
 ★AED普及が足踏み AEDとは周知のように心臓蘇生の救命機器。5月の本欄でも普及し始めたことをお知らせしたが、これまた後発医薬品同様、「さあ、これからだ」という時なのに普及にブレーキがかかっている。電子部品に不具合があり、保管中にバッテリーが消耗して電源が入らなくなるケースが10月現在で国内外で22件報告されている。そのため学校や駅にも出荷した2387台の自主回収を始めたという。残念至極である。
 
 
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