2006年9月1日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
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 ★蚊取線香の夏 早実のハンカチ王子を中心にヒートアップした高校野球の熱気もようやく落ち着き、夏も終りを告げようとしている。おなじみの渦巻き型の蚊取り線香ともしばらくのお別れだ。あの香りは夏の風物詩としては年々さほどでもなくなってきたのであろうか。ふとそんなことを思っていたら、どっこい、メーカーはアジア・アフリカを中心に世界に活躍の場を開拓していた。地球温暖化の影響もあって、蚊の分布が地球規模での拡がりをみせるなか、日本の蚊取線香は殺虫効果が高く、人にやさしいのが強味。メーカーは競って現地に新工場を建設、なかでも有望なのは最先端商品の「電池式」なそうだ。

 
 ★急げ感染症対策 蚊といえば、ここ数年、海外で蚊に刺され、帰国後に「デング熱」と呼ばれる感染症を発症する人が増えているという。日本での患者数は00年18人が05年には約4倍の73人、今年は昨年を上回っているようだ。マラリアなどが農村に多いのと違ってデング熱ウイルスをもつ蚊は都市部にも移り、油断禁物。いつ爆発するか予断を許さない。すでに爆発しているエイズや結核。アフリカでは結核とエイズが「死の相乗作用」で死者数が激増している。そんな中、南アフリカのノーベル賞受賞者ツツ氏は「日本の指導力に期待するところ大」とうったえている。

 
 ★いつかきた道… いま中国が悩んでいる問題の一つは、都市部に住む男の子(女の子の統計は明らかにされていない)のうち4人に1人が肥満で、20年前の実に100倍以上に。さらに中学生の約6割、高校生の約8割が近視であることや、子ども達の肺機能や運動能力の低下傾向にあることも明らかになっているという。かつての日本がバブルへ向かい、迎えていた頃の問題点と同じような問題にいま直面しているようである。

  
 ★ドーピング続々 アテネ五輪の金メダリスト、ガトリン選手が8月23日にドーピング(禁止薬物使用)違反に問われ処分された。100bの世界記録が抹消され、競技出場停止8年に。彼だけではない。シドニー五輪女子陸上3冠のジョーンズ選手にも陽性反応が出て問題になっており、自転車のツールド・フランスの優勝者、ランディス選手に疑惑も。かつて東西冷戦下、東ドイツの組織的なドーピングは周知の事実だが、この夏、チェコの秘密文書が明らかにされた。それによるとチェコも社会主義の優位を西側に示し国威発揚のため、政府関係者、コーチ、医師の一部が極秘裏に組織でドーピングを進めていた。

 
 ★これは麻薬なみ 関大の学生がマンションから転落死した事故は記憶に新しい。直前に薬物を飲んでいた。このような「脱法ドラッグ」が、普通の飲み物感覚で飲まれて、若い人たちの心をむしばんでいるのだ。麻薬とわずかに組成が違うため、違反にならない。しかし麻薬同様の幻覚や興奮作用があり、依存性も強い。これがどこでも簡単に手に入り、作り方を書いた本まで堂々と出回っているというから、これまた深刻である。

 
 
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