2006年8月1日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
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 ★寝ぬ子は太る 「寝る子は育つ」が、「寝ぬ子」は肥満中学生になるリスクが高いことを、富山大の研究グループが明らかにした。睡眠時間が短いことで脂肪を分解する成長ホルモンの量が減ったり、交感神経の活動がおさまりにくくなって血糖値があがる可能性を指摘している。成人でも睡眠時間が短いと肥満になりやすいというデータもあるようだが、年頃になっての肥満が小児時代につくられていくといった状況は、何といっても家庭環境がかもし出してくるものだ。幼児期の睡眠不足は内分泌を制御する脳にも悪影響を与える可能性があるのではないかとも言われている。家庭環境の影響は大きい!

 
 ★睡眠のリズム 赤ちゃんの時から生活リズムには注意しよう。生後間もなくは「食っちゃ寝」の状態だが、これを昼間は起きていて、夜まとめて眠るリズムに移行させていかねばならない。そのためには「昼間の目覚め度を高めるために、お昼の授乳中には赤ちゃんの顔を見て話しかけ、テレビや携帯メールをしながらの授乳は感心しない」(鈴木みゆき・聖徳大学短大教授)。身に憶えはありませんか?これだけではない。生活リズムをつくるカギは「朝ごはん」であるとの鋭い指摘。朝食抜きは生活リズムを崩す原因なのだ。母親の影響は大きい!

 
 ★お年寄りの目 高齢者に大敵の目の病気の一つに加齢黄斑変性というのがある。目の網膜の黄斑部分に沈着物ができ、視力が落ちる病気だ。これまではこの病気と活性酸素の関連は知られていたが、これが変性の過程で出るのか、変性の原因なのかはっきりしなかった。いまそれが、「原因」であることが明らかになった。実証したのは慶大の今村裕講師。原因がわかれば、その対策治療も的(まと)をしぼり易い。こうした分野にこそハイレベルの医療技術を駆使してほしい。視力が弱くなっていく高齢者に福音を!

  
 ★お年寄りの耳 年をとると目もそうだが、耳も不自由になりがち。そこに骨伝導の登場だ。骨伝導というのはすでに知られているように、鼓膜ではなく、骨に振動を伝えて音を認識するのがその仕組み。これは早くから注目されてきており、当然、骨伝導機器を手がける企業がヘッドホンを中心に携帯電話グッズや無線機などに次々に参入している。そんな中で、「骨伝導補強器」の分野でもメーカーの技術革新と普及推進が期待されている。耳が遠くなる高齢者に福音を!

 
 ★少子・高齢化 以上、子どもと高齢者に関連する話題をとりあげてきたが、日本が共に世界一というのが、その少子化と高齢化だ。日本の人口に占める65歳以上の高齢者21・0%と世界最高。予測を上回るペースで高齢化が進んでいるのである。15歳未満は13・6%で世界最低。これまたハイペースだ。加えて少子化の大きな要因とされる未婚率の上昇は男47・7%、女32・6%なそうである。世界一にもいろいろ!

 
 
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