2006年6月1日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
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 ★増えて行く世界人口 世界の人口は今年に入って65億人を突破した(米商務省センサス局)。増加傾向が今後50年は続くという。発展途上国の人口増加は先進国の少子化分に比べはるかに大きい。日本は05年から自然減が始まり、1億人弱で17位。現在2位のインドが約16億人となって、約14億人の中国を抜いて首位に。日本の人口はいったん減少に転じた以上、少子化状態が解消されない限り、際限なく減少してゆくのである。

 
 ★日本の子どもたちは その少子化の中で、日本の子どもたちが「長生きできない可能性が高まっている」と日野原重明氏は警鐘を鳴らす。そして普段、子どもたちと接している専門家たちも「11〜12歳の子が真正面からくる相手をよけきれず衝突する」「障害物がないのに突然転ぶ」「9歳男児の運動能力は20年前の女子レベルである」と指摘する。中村和章・山梨大助教授は呼びかける。「子どもの体力低下はここ数年がカギ。もう少しすると子ども時代に遊んでない世代が親になる。そうなる前に社会の意識を高める必要がある」。

 
 ★パプアの子どもたち パプア(インドネシア最東端)でエイズウイルス感染者・エイズ患者の増加が猛威をふるっているが、感染者はこの3年で倍増。それと平行して低年齢化も進み、ついに小学生の感染者が出始めたというから、深刻だ。

  
 ★チェルノブエリでは 放射能汚染の影響で子どもの甲状腺がんが増えている。この20年間で18歳以下の約4000人が発病、9人が死亡。薬の服用を一生続けねばならないなど、日常生活での負担は大きい。原発事故直後の急性放射線障害以外では唯一、被曝(ひばく)との関連で認められているのが子どもの甲状腺がんだ。子どもだけがなぜ!胸が痛む。

 
 ★患者が薬を選ぶ時代 一つの薬を開発するには10数年以上、数百億円もの経費がかかる。だが、特許切れになると各メーカーは後発品を作ることができ、価格は2〜7割も安くなる。このジェネリックス薬品をフル活用すれば医薬品費6兆円のうち1兆円は削減できるという。この活用のカギはなんといっても患者が握っているはずである。「特許切れ薬品は人類共通の財産」であるという意識を持ちたいものである。

 
 ★W杯もう一つの悩み 待ちに待ったサッカーW杯が9日開幕。開催地ドイツは100万人の観戦客をむかえる。ところが、ここで頭の痛い問題が起こっている。それは治安対策もさることながら、鳥インフルエンザだ。スタジアムの売店で大会会期中には鶏肉を使った料理を一切販売してはならないことが決められた。てぐすねひいていた業者は猛反発である。この鳥インフルエンザ、人から人へ感染する「新型」がいつ、どこで生まれ、大流行を引き起こすか。威力はどれほどなのか。実は専門家も良くわかっていない。だが、大規模な国際大会である。鶏肉業者には申し訳ないが、用心するにこしたことはない。

  
 
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