2006年5月1日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
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 ★AEDの効果は抜群 本欄ではおなじみのAED(心臓蘇生の救命機器)がようやくスポーツ施設や駅などに広がりはじめた。「体育施設」誌(4月号)が、フルキャストスタジアム宮城▽フクダ電子アリーナ(千葉)▽両国国技館▽伊勢原総合体育館(神奈川)の設置状況を紹介し、一方、横浜駅では来月までに、乗り入れ4社で計8台が導入されるという。

 
 ★子どもを救う効果期待 突然のどの痛みや高熱を伴なうA群容血性連鎖球菌(容連菌)咽頭炎が今年に入って急増していると、国立感染症研究所が警告している。それも子どもが春に罹りやすく、合併症がこわいという。「早めに受診を」といわれても、小児科は産婦人科と共に医師不足の深刻な診療科目だ。そこで日本小児科学界はいま、「小児科医バンク」制度を計画している。出産や子育てなどで辞めた女性医師の復職を促し、過酷な労働環境を改善するのが狙いだという。ぜひ効き目を出してほしい。

 
 ★幼児肥満の効き目は アメリカ疾病対策センターによると、BMI(肥満指標)は日本の指標よりかなり太めに設定されたアメリカなのに、男女を問わず成人の3人に1人が肥満であるという。しかし問題は幼児肥満が増加中であるということだ。ジョンホプキンス大学調査によると、30万人近くの幼児が太りすぎで車の「チャイルドシート」の規格にあわなくなっているという笑えぬ事実が指摘されている。特に3歳児。18万2千人が体重18`を超えていたというからビックリ。肥満防止が急がれている。

  
 ★りんごが効くという 折りしも、リンゴに含まれている「リンゴポリフェノール」が注目されている。アサヒビールはこれが血液中の中性脂肪が増えるのを抑える効果があることを人への臨床試験で初めて確認、サプリメントなどへの商品化を進めるという。これが成功すれば幼児の口に合うリンゴなので効果は上々となるか。さて―。

 
 ★サプリメントの効果 サプリメントといえば、アガリスクなどを売りさばいていた健康食品会社が摘発されたのは昨年だった。「末期かんが消えた」という、架空の患者体験談まで使っていたようだが、がん患者のワラにもすがる思いをくいものにするのは許せない。厚労省研究班がこの春から健康食品やサプリメントを調べる臨床試験に取り組み始めたのは当然だが、その判定はむずかしい。主任研究員は言う。「健康食品ががんに効くという科学的根拠はまだないが、効かないという根拠もないのが実情」。

 
 ★これは偽薬の効き目 効き目というのはそう簡単には色分けできないようなのである。薬物依存の患者に、本物そっくりの薬を渡すと症状が落ち着くことがある。患者が本物の薬と思い込むことで効果が現れる「プラセボ(偽薬効果)」が存在するからだ。世の中、厄介なものである。

  
 
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