2006年4月1日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
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 ★地球揺るがす感染症 スピード、ボーダレス化の地球がいま最も恐れるのは感染症である。科学枝術がいくら進んでもSARZ(新型肺炎)、エボラ出血熱など多くの感染症にお手上げの状態にさらされている。そして今、鳥インフルエンザが感染症の大敵として立ちはだかっている。 
 ◎旧ソ連圏にも…先月半ば、鳥インフルエンザはついにソ連圏にも不気味な姿を現した。アルゼバイジャンで3人の死亡が報じられた。
 ◎モスクワでは…長い冬を終えたモスクワ・クレムリンの建物をカラスの被害から守るために、例年「ワシタカ部隊」を活動させるが、今年はこのワシタカにワクチンを打って出動させている。   
 ◎ブラジル打撃…世界最大の鶏肉輸出国ブラジルは、鳥インフルエンザ発生国で消費が減り、市況が落ち込んで、頼みの急成長産業が深刻な打撃を受けている。
 ◎フランス大変…売れ残った鶏肉を学校給食や病院の食事、ホームレス救済食に使うという動きがフランスに出てきた。弱者にシワ寄せなんて言っておれないのか。
 ◎ネコも危ない…サッカーW杯開催に「黄信号」のドイツとオーストリアでネコへの感染が増え、ペットを介した感染拡大を懸念、ネコを屋外に出さず、イヌは必ず綱をつけて散歩させるよう異例の対策を展開。これを受けてフランスでは捨てネコが急増しており、農業省は「過剰な反応」と沈静化に大わらわ。おもえば鳥インフルエンザが欧州に達したのは05年10月上旬。それがわずか4ヶ月で欧州全域に拡大してしまった。
 ◎日本だって!…欧州を席捲するこのウイルスは中国からの渡り鳥が運んできて広めたものと考えられているが、次の冬にはこの渡り鳥が同じウイルスを持って日本にもやってくる危険性は大。次の冬なんていっておれない。敵は目前に迫っている。

 
 ★これはナゾの熱病 鳥インフルエンザに頭の痛いフランスだが、新たな問題を突きつけられている。インド洋に浮かぶ仏領レユニオン島(人口78万人)でナゾの伝染病が大流行、すでに16万人が感染、1月末までに77人が死亡したという。蚊がウイルスを媒介することはわかっているが、それ以上はわからない。病名は「チクングンヤ」。スワヒリ語で「体をのけぞらせる」という意味があるという。ルビルバン首相は同島を訪れ、仏軍部隊400人を投入してとりあえずは蚊の撲滅作戦を展開中。

 
 ★がんワクチン開発 ワクチンといえば、90年代にはいってからがん抗原が次々と特定され、がんに対抗する免疫細胞の状況が科学的に解析できるようになった。これを足がかりに、がんだけに対する免疫反応の強化を目指す研究が一気に進んでいる。そして今やがんワクチン誕生の予感。米企業が開発した前立腺がんワクチンには延命効果が確認され、早ければ年内にもFDA(米食品医薬局)に認められて世界初の「公式」がんワクチンが誕生しそうだという。

  
 
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