2006年2月1日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
このコラムに関するご意見、ご感想をお寄せください。
 
 
 
 ★鳥インフルエンザ トルコで感染拡大、死者3人を含め計14人が感染、欧州諸国は警戒態勢に入っている。一方、中国では人への感染8人目、日本では人から人への感染はないが(以上1月10日現在)、これが小集団で発生すれば、一挙に拡大していくであろうことは目に見えている。そんな緊迫した中、ベトナムで死亡した2人から抗ウイルス薬セルタミビル(「タミフル」とよばれている)の耐性ウイルスが検出されたというのだ。この薬は新型インフルエンザにも有効だと考えられ、世界的に備蓄がすすめられている薬だ。怖いものの出現をじっと待っているような不安感が日に日につのってくる。

 
 ★今すぐ花粉症対策 「花粉飛散が始まるのは2月14日ごろ」と日大医学部・木下俊子・医局長。環境省は飛散量は平年並みから平年の半分を予測しているが、発症者数はさほど変らないとも予測されている。いざ飛散が始まったら、花粉をブロックすることが大切。立体マスクやメガネは定番だが、ミズノが新春早々、「花粉付着制御ウエア」の発売を始めた。薬もこれまで医療用だった効力の強い薬(「パブロン点鼻Z」など)が薬局で買えるようになった。せめてここでは快適な春を!

 
 ★「AED」広めたい 心臓蘇生の救命機器(略称AED)が誰でも使えるようになったことは何度か本欄でもとり上げてきたが、年末にこんなことがあった。相模原市(神奈川)のダンススポーツ競技大会で1人の主婦が突然倒れ、心肺が停止してしまった。が、参加者はあわてなかった。会場に備え付けのAEDを使い、主婦は一命をとりとめた。次は京都。AEDの普及イベントに茂山狂言会の演じる創作狂言にAEDを使う山伏が登場し、観客を笑わせたという。依頼があれば「AED狂言」を披露しますよ、とのこと。狂言とAEDの組み合わせがおもしろい。

  
 ★肥満児に減量作戦 病院で医師に「ボク、もう大人の病気になっているよ」と言われる三段腹小学1年生に付き添う母親もみごとな肥満体。「似たもの夫婦」という言葉があるが、これは絵に描いたような「似たもの親子」。両親が肥満の場合、子どもも肥満になる傾向にあり、さらに肥満のまま大人になる可能性が強い。こうした将来の生活習慣病予備軍を減らすために、厚労省は重い腰を上げ、今年度から肥満防止対策に乗り出すことになった。遅すぎるが、やらないよりはましである。食生活の欧米化やライフスタイルの変化も大きな要因となっている。用心、用心!

                   ◇

 生活習慣病といえば、20歳を過ぎれば骨中のカルシウムが減っている傾向が指摘されている。今年、成人を迎えたのは143万人(男73万人、女70万人・総務省推計)。大人の仲間入りをしたのを機に、20歳までは骨の中のカルシウムは増えるが、その後は確実に減ってゆくことを自覚してほしい。用心、用心!

 
今月のコラム【待合室】へ戻る

 



医療新報MENUへ戻る