2006年1月1日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
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 ★ニコチン依存症対策 厚労省は医師による禁煙指導を「治療」とみなし、医療保険の対象にしてニコチン依存症と言う病気に積極的に対策を立てるという方針を固めた。欧米ではすでに慢性疾患ととらえる動きが広がっている。日本も腰を上げた。生活習慣病を引き起こすとされる喫煙を減らせば、15年後には医療費が約1846億円も抑えられるとみている。これは結構な話である。――が、どっこいそうはいかないぞ、というのが3年ぶりに急浮上したたばこ増税だ。児童手当の拡充の財源とするために1本1円の値上げとなるようだ。星城大学のネットアンケートでは1箱550円なら喫煙者は半減すると回答がでた。愛煙者としては思わず思案してしまうニュースである。

 
 ★鳥インフルエンザ対策 ひたすら抗インフルエンザ薬「タミフル」頼みのなかで、「人から人へ」の不安が日増しにつのる鳥インフルエンザだが、ここにきて(12月下旬現在)防御のエース登場というところだろうか。帯広畜産大と日清紡が鳥インフルエンザウイルスを破壊する銅イオンを含む特殊な繊維を開発したと発表したのだ。ウイルスに10分間接触させるとウイルスの90%が破壊されるという。すでにこの繊維を用いて感染のリスクを軽減するマスクを試作してもいる。思わず声援を送りたくなるニュースではある。

 
 ★小さな島のHIV対策 アフリカ・ビクトリア湖に浮かぶ小さな島々での話。病院も警察署もない島にHIVが広がっているのだ。人口6000人の4割が感染している背景には、漁師たちを目当ての売春や「妻相続」の伝統のためといわれている。しかし、男性がコンドームを使おうともしないことが大きな原因となっている。コンドームにはHIVのウイルスが塗ってあるという、とんでもないデマが流布し、政府の無料配布コンドームが漁港の一角に大量にすてられているという。思わず天を仰ぎたくなるニュースだ。

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 薬の効かない薬剤耐性のHIVが日本国内でも広がっていると厚労省。03〜04年に新たに感染が判明した575人(新規感染の約3割)を対象に調べたら31人(5・4%)で薬剤耐性に変異していたという。用心、用心!

  
 ★ニセ医者には対策なし 何とも間の抜けた話である。誰かって?都内の医療関係者だ。誰もニセ医者と見抜けなかったのである。医師免許がないのにまんまと医者に化けて医療行為をしていた33歳の男はトボケテいるのか稀代の詐欺師なのか、97年頃から病院の勤務医や宿直医を転々とし病院などから現金を振り込んでもらい、昨年1年だけでも都内の3病院などから約2千万円の収入を得ていたというのだ。当の容疑者は「慶大医学部卒業」などといっていたが、実際は「高校中退」だったという。「ニセ医者9年間繁盛記」という見出し(朝日新聞)をみると、周辺の間抜けぶりには思わず腹が立ってくるニュースというものだ。

 
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