2005年5月1日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
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 ★花粉症4人に1人 高度4800メートルまで花粉に覆われている日本列島はいまや史上最悪の花粉症大国。日本リサーチセンターのアンケートによると、日本人の26.2%、つまり4人に1人が花粉症で苦しんでいることになる。その対策はといえば「マスク」が最も多く36.3%。ひたすらマスクである。決定打とも思われるワクチン療法も人の免疫の複雑な構成の一部をいじることにもなりかねず、全体のバランスを考えての治療が必要となってくるので、その研究は遅々として進まないのが現状だ。一方、花粉症対策商品市場だけが大繁盛。こんな状態はもうご免こうむりたい。
 
 ★風疹感染9件のみ これは米国。疾病対策センターはこのほど「米国は風疹を撲滅した」と宣言。風疹は軽症のはしか(麻疹)に似ているが、妊娠中の女性が感染すると、耳や目の不自由な赤ちゃんが生まれる危険が潜んでいる。64〜65年の大流行を機に三種混合ワクチンが導入され、いまや感染例が04年には9件だけ。それも海外から持ち込まれたものなそうだ。花粉症にもこんなワクチンが欲しいものである。ところで、はしかだが「日本は米国にはしかを輸入している」だけでなく、ブラジルでも前年のはしか患者第1号は日本から帰国の旅行者だったという。「かつて日本は、はしかのワクチンや診断技術を輸出してくれた。それが今度は本物の患者だ」という有様だ。花粉症大国だけでもご免こうむりたいのに、はしかの輸出大国でもあるなんて真っ平ご免だ。
 
 ★乳房温存5割超す 乳がん患者団体「イデアフォー」によると03年の乳がん治療で乳房を切らずに残す「温存療法」の割合が52.9%と半数を超えたことがわかった。「がんの大きさ3センチ以下」という温存手術のガイドラインに従う医師と、「大きさは問わない」と、できるだけ温存しようとする医師で対応の違いは浮き彫りされてくるが、残酷な治療跡を残す女性の苦悩を一掃する療法の確立はぜひ望みたい。
  
 ★15〜20年後を予測 第一線の専門家2700人が科学技術の未来を予測した(文科省アンケート)。医療の分野に目を向けるとエイズウイルス感染症やアトピー性皮膚炎の根治療法が普及し、不妊症が撲滅されるのは15年後。がんの転移を防止し、アルツハイマー(認知症)の根治療法は20年後。1年でも早く! そう願いたいものである。
 
 ★心拍再開率23%に 心肺停止状態で倒れたところに救急隊が駆けつける。生死を分ける決定的な局面で、03年の心拍再開率は前年の17%から23%に上がったという。「気管挿管できたことが大きい」(04年から)ことは確かで、これまでは医師の指示を待つ時間がもどかしかったが、いまは「除細動器もすぐ使えるようになった」(03年から)からである。来年からはさらに強心剤の点滴も可能になる。そのための病院実習と訓練を経た救急隊員が1人でも多く増えることが期待されている。
 
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