2005年4月1日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
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 ★C型肝炎 背中に竜やボタンの入れ墨を入れた16歳の少年が、C型肝炎に感染していたことが明るみに出た。「お前も男なら入れてみろ」と遊び仲間に言われて入れ墨をしてしまったというから唖然とするが、問題は彫り師が使った針からC型肝炎に感染した可能性が高いという。入れ墨をしたあと突然、黄疸の症状があらわれ、倒れてしまい、救急車で病院に運ばれた。体に墨だけでなくウイルスまで入れてしまったのである。「お前も男ならC型肝炎にでもなってみろ」じゃ、シャレにもならない。
 
 ★現場研修 新卒の看護師の12人に1人が1年以内に離職していることがわかった。「専門知識が足りないし、医療事故を起こさないか不安」という悩みの果てのこの数字。学校で学んだ知識と現場で要求される能力との格差に戸惑うというのだが、こんなことは学校でたての者なら誰でもが味合う体験ではないのか。新卒者がもっと受けたかった教育は「薬の知識」65%、「注射などの実技」49%。注射だって?こんな初歩的なことは当然身につけて社会に出てくるはずではないのか。看護師が、注射が出来ないから辞めますではシャレにもならない。
 
 ★分娩研修 助産師の養成過程で国が定めた10回の分娩研修を受けないまま学生を卒業させている養成学校が半数を超えているそうだ。分娩実習の機会が少ないのは、少子化が加速して、学生の研修に協力してくれる妊婦の確保がむずかしいことなどがあげられているという。実地研修の必要回数を緩和する方針を厚労省は打ち出しているが、研修不足の助産師を世に送り出して、その人たちに赤ちゃんが世に出てくるのを介助させるという図はシャレにもならない。
  
 ★模擬患者 前回もふれたが、研修ということでは模擬患者の活動は注目に値する。東京SP(模擬患者)研究会の代表である佐伯晴子氏は「医療を受けた人に経験を語ってもらい、互いに知恵を出し合わないと、国民が納得できる医療は実現しない」として、次のように言う。「家電や車ではメーカーがユーザーの声をいれて、よりよい商品にしょうと改善をかさねている」。まして命を託しているユーザー(患者)の声をメーカー(医療者)が聞き入れて、よりよい商品(治療)にしょうと改善をかさねるのは当然の話だ。すぐ感電死する電気製品など出回ったのではシャレにもならない。
 
 ★肥満大敵 おなかの回りが気になる人の太り方だが、おなかの回りがポッコリ出てくる「リンゴ型」は内臓脂肪肥満の可能性が高い。これが近年、健康に悪影響を及ぼすことがわかってきた。腰痛やギックリ腰の引き金にもなり、肥満大敵なのだ。連日マスコミをにぎわしている平成の坂本竜馬かどうかわからないが、IT産業の旗手「ホリエモン」のおなかに似てきたぞ、などとエツに入っているとすれば、シャレにもならない。
 
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