待合室
2004年9月1日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
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 ★鳥インフルエンザ再び ベトナム政府が8月12日に、鳥インフルエンザで3人死亡を確認した、と発表した。2人が北部、1人が南部に住む人だという。一度は終息したかにみえたが、東南アジアに広がる様相をみせている。WHOは「感染の広がりは人にうつる機会を増やし、人に急速に伝染する新型ウイルスの出現の恐れを増大させている」と各国に警戒を訴える。このウイルスの遺伝子が変異していくと、日本では4人に1人が感染し、最悪で約17万人が死亡する可能性があるという、そら恐ろしい数字は厚労省の試算。
 
 ★西ナイル熱も日本を襲う 西ナイル熱は人から人には感染しないが、8月6日にアメリカから帰国した沖縄の女性(62)の血液などから西ナイル熱または日本脳炎が疑われる遺伝子を検出した。厚労省はその後、26日になって「感染はなかった」と発表、ほっとしたが若しこの人の血液検査で西ナイル熱が確認されれば国内初となる。もうそこまできたのである。流行地への渡航者に対して蚊に刺されないようにと、成田空港などの検疫所では注意を喚起しているが、すーっととりついてくる蚊だ。相手が悪い。
 
 ★クマネズミが大暴れ 鳥も蚊も国境など関係ないが、熱帯のジャングル原産のクマネズミもそうだ。いま日本で大暴れしているである。やっかいなことにこのネズミには感染症の危険があるのだ。国立感染症研究所は、クマネズミから腎不全を起こす可能性があるレプトスピラ菌を検出。その被害も体の不自由な高齢者宅に目立っているというから軽くみてはなるまい。体をかじられ、付いているダニにかまれ、部屋に巣をつくられたり…。
  
 ★ストップ・ザ・覚せい剤 フランスでは大麻吸引は違法だが、取り締まりはゆるい国で知られていたが、高校生の半数が大麻経験者であるという厳しい現実を前に政府は重い腰を上げざるをえなくなった。一方、日本では「MDMA」などの合成麻薬の摘発が進められている。覚せい剤のような幻覚をもたらし依存症がでるのだが、これが盛り場などを介して広がりをみせ、しかも20代以下がその8割をしめるという。覚せい剤は洋の東西を問わず、青少年の心身を蝕んでゆく。
 
 ★心停止にショック 心停止した人に電気ショックをあたえて救命する機器にAED(自動体外式除細動器)というのがある。携帯型で救命率アップの期待を担っている。なにしろ心停止から3分以内に電気ショックをあたえると7割が助かり、10分以上何も処置しないと、ほぼ全員が助からないというから是非人の集まる施設では積極的な導入をしてほしい。厚労省は1年前にこれを医師法の解釈を変更してまで一般人も使えるようにし、日本循環器学界も普及に乗り出している。が、これが一向に進まないというから、こんな状況もショックというほかない。たとえばこうだ。∇医師でないのに使って責任問題が発生したら…∇倒れたお客様の救急搬送はお手伝いしているがそれ以上は…∇各社の動きをみて…。困惑しているのである。宝の持ち腐れにな
らないことを念願する。
 
 
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