待合室
2004年8月1日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
このコラムに関するご意見、ご感想をお寄せください。
 
 
 
 ★怖〜い狂犬病 前回もとり上げた狂犬病だが、死者が出た。米アーカンソー州でのこと。7月上旬、臓器移植で狂犬病に感染した患者が死亡したことを米疾病対策センターが確認したと発表。一方で、子犬や小型犬を中心にペットブームが続くわが国。このブームに巻き込まれて狂犬病が侵入してくれば大変なことになる。一昨年から昨年にかけて年間輸入犬は5千匹以上増えている。そこで農水省は輸出国でのワクチン接種など事前の管理を厳しくすると共に犬の輸入検疫制度の大幅な見直しに乗り出す。また、狂犬病発生国での11か月未満の子犬の輸入は来春から禁止するといった新制度をとりまとめる方針だ。
 
 ★怖〜いプール熱 プール熱の正式名は咽頭(いんとう)結膜熱。ウイルスでひきおこされる結膜炎と高熱が伴なう病気。これまでは夏場のプールを介して感染が広がるケースが多かった。ところが昨冬の患者が例年の2〜3倍も出たことが確認されている。温水プールの普及で冬場に泳ぐ機会が増えたこともあろうが、ウイルスが耐寒力を増し、より強くなってきたのだ。そんなしぶといウイルスは夏到来でますます張り切り、歓声にあふれる学校プールを痛撃する危険がある。国立感染症研究所はシャワーや洗眼、食前、排便後の手洗いなどの徹底を呼びかけている。
 
 ★怖〜い熱中症 猛暑が続く。急に気温や湿度が高くなると、体温が異常にあがって収拾がつかなくなってくる。これが熱中症だ。頭痛、めまい、吐き気、だるさなどを感じ、やがて失神やけいれんを起こして意識障害を伴ない、死につながることもある。特に体調の良くない人や子どもやお年寄りは要注意。まず何よりも十分な水分補給である。汗だけでなく、呼吸そのものからも水分は発散されていくこともお忘れなく。
  
 ★低年齢化する抑うつ 殺傷などの凶悪犯罪もさることながら、小学生の1割が抑うつの傾向にあるというから驚く。筑波大の調査によると、3都県3300人以上の児童を対象に調査した結果、小学校4〜6年生の約10人に1人が「眠れない」「何をしても楽しくない」「ひとりぼっちの気がする」といった抑うつ傾向を示していることがわかった。「放っておけばうつ病につながるような、ハイリスクの子どもがかなりいることを示している。何らかの支えが必要である」と警鐘を鳴らす。
 
 ★高コレステロールも これは関西医大と浜松医大の共同調査。小学5年生でコレステロール値が高い女子が8年の間に倍増しているという。男子も例外ではない。この数字は将来、心筋梗塞(こうそく)などの増加につながると厳しい予想をしている。食生活の変化と運動不足によるとみられ「日本の心筋梗塞などによる死亡率はいまは米国の3分の1以下にとどまっているが、将来は増えることが予想出来る」という。いくらなんでも、こんなことまでアメリカに追いつき追い越せなんてまっぴらだ。
 
 
に戻る
今月のコラム【待合室】へ戻る

 



医療新報MENUへ戻る