待合室
2004年7月1日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
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 ★西ナイル熱 夏到来。日本の住宅地にいるアカイエカの1割以上が人も鳥も刺すタイプで、アメリカで流行している西ナイル熱を媒介する危険性が高いという(国立感染症研究所昆虫医科学部)。西ナイル熱のウイルスは鳥とそれを刺すアカイエカなど蚊の間で感染をくりかえす。名前が示すようにもとはアフリカや中東地域の風土病だが、99年にニュ-ーヨークに突如として出現した。蚊が飛行機で運ばれた可能性も指摘されているが、日本にウイルスが入ってくればアメリカのように流行する可能性があるのだ。蚊を団扇でたたき落として…といったのんびりした夏の風物詩の世界はもはや昔のこととなった。
 
 ★狂犬病 これも怖い。発症すればほぼ間違いなく死に至る病だ。日本ではこの40年以上発生の報告はないが、これとてそのウイルスが海外から持ち込まれる恐れは否定できないのだ。日本の飼い犬のワクチン接種率は5割を切っている、と推定されている。ウイルスが入ってくれば、犬の間で拡がる懼れは十分考えられる。朝、夕の犬の散歩風景は心を癒す…といった心豊かな街の風物詩の世界ではなくなってくる。
 
 ★天然痘 天然痘も楽観できない。え?え! 人類が唯一撲滅できたウイルス病ではないかと誰でもが思う。ところがである。天然痘ウイルスはアメリカが450株、ロシアが150株を保管し続けているのだ。ゾッとする。それも、WHO(世界保健機関)が再三にわたって廃棄を勧告しても両国は聞き入れようともしない、という現実を直視しなければならない。戦争やテロに悪用されたらどうする!大国のあからさまな駆け引き…といった理不尽な国際社会のおぞましさが今更ながら心を刺す。
  
 ★胎児誘拐 前代未聞、ついにここまできたか。南米コロンビアの首都ボコダ近郊での出来事である。妊娠8ヶ月の女性が連れ去られ、おなかの中の胎児だけが誘拐されたというのだ。女性は睡眠薬をのまされたのであろう、ジャングルの中にひとり寝かされている状態で気がついた。その手口、つまり帝王切開手術は鮮やかだったという。結果は母子ともに無事保護されたものの、こんな手口を知ると身震いせざるをえない。
 
 ★呑ん兵衛に朗報? 怖いテーマが続いたので話題を変える。日本酒を1日平均1合未満(ビールなら大瓶1本)飲む習慣の中年男性は時々飲む人に比べ、脳梗塞の発生率が4割も少ないということがわかったというのだ。酒の席での強がりといったものではない。国立がんセンターの津金・予防研究部長を班長とする厚生労働省研究班のれっきとした調査である。アルコールには血液を固まりにくくする性質があるので、脳梗塞を減らすと考えられているようだ。だが、呑ん兵衛諸君、こんな記事(朝日新聞)がでたからといって、バンザイ三唱して痛飲することにはくれぐれもご注意を―。過ぎたるは及ばざるが如しである。この調査でも1日3合以上の飲酒はすすめられないことをはっきりと明示している。
 
 
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