待合室
2004年5月1日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
このコラムに関するご意見、ご感想をお寄せください。
 
 
 
 ★4人に1人 かねてから研修医の勤務時間の長さや受け持ち患者の多さが問題になってきたが、その4人に1人が1〜2ヶ月後には「うつ状態」に陥っている事がわかった。怖いのは「医療事故を起こしそうになった」と回答した研修医19人のうち14人(74%)がうつ状態であったという事だ。この調査をまとめた前野哲博・筑波大助教授も「うつの予防・早期発見が安全な医療につながる」と指摘しているが、全くその通りで、ツケを患者に回されたのではたまったものではない。「紺屋の白袴(はかま)」「医者の不養生」なんていう言葉を思い起こさせてしまうお寒い風景。
 
 ★年46億本 タバコの話。未成年者(12〜19歳)が年に46億2200万本のタバコをすっているという。中高生10万人調査の推計である。1日平均20本以上吸う本格的(?)なスモーカーは、そのうち高3男子の16%、同女子の8%。昔から、身の回りにこのての高校生スモーカーはいたが、こんなに多くはなかった。特に女子の8%には時代を感じさせるものがある。彼らのタバコ消費額は578億円、税額は354億円。健康より納税に燃えている一部の若者よ、ほかに燃えるテーマはゴマンとある筈じゃないの?
 
 ★18.1% 次は酒。若い女性の飲酒がタバコ同様ふえているご時世。飲酒が胎児に与える影響が注目されている。これまで、日本では妊娠中の女性の飲酒はいけないという暗黙の了解があったが、それはもう崩れさってしまった。そこで厚労省も母子手帳の「飲酒をひかえる」という表現を次回改訂時には「飲酒をしない」と改めることが検討しているという。4年前の乳幼児身体発育調査では「妊娠中に飲酒した」が18.1%にものぼっている。今後はFAS(胎児性アルコール症候群)がふえるのではないかと懸念されているが、酒造業界もよびかける。「お腹(なか)の赤ちゃんも立派な『未成年者』」、「お母さんが飲むと、ボクも酔っちゃうよ〜」。
  
 ★埋めたり20d 福島県立大野病院跡に大量の医療ごみが埋まっているのがみつかった。解体工事をしていた業者がみつけたもので、15b下の土の中の廃棄物は使用済みの点滴びん、薬びん、注射針など何と20dにも。問題なのはこれが氷山の一角であるということだ。今や土を掘れば、医療廃棄物、不発弾、そして毒ガスの材料…。「ここ掘れワンワン」の心温まるおとぎ話の世界は遠い遠い昔のロマン。
 ★感染30人 これは秋田。秋田大学医学部付属病院の心臓血管外科で入院患者30人が1〜7月の間にMRSA(メチシリン菌耐性黄色ブドウ球菌)に院内感染していたという。患者30人のうち3人が死亡。同病院の中で心臓外科が突出していたというから同科に何らかの欠陥があったのである。入院患者は、心臓の病気を治してもらうために入院した筈なのに「伏兵」の狙撃に命を落としてしまうというのだから、たまったものではない。
 
に戻る
今月のコラム【待合室】へ戻る

 



医療新報MENUへ戻る