待合室
2004年4月1日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
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 ★ ……牛 まずウシからいく。ウシといえばBSE(牛海綿状脱症)。このほど「汚染された牛肉を食べてしまった」と、米ワシントン州の女性(52)らが販売したスーパーを提訴した。とおもえば、昨年末に初めて確認された感染牛をめぐってアメリカ農務省の記録が改ざんされた疑いが浮上し、刑事捜査が入ったという。自国のこんな問題をかかえながら、アメリカは全頭検査もせずに、日本に輸入を強要、「日米牛肉」は問題を引きづっていく。
 
 ★……鶏 次はニワトリ。高病原性鳥インフルエンザが全国をゆるがしている。特に京都府丹波町の「浅田農産船井農場」の極めて自分勝手な対策は言語道断だ。これが明るみに出たのは匿名の通報によるもので、大量死発生後7日も経っていた。奇しくも2月27日、地下鉄サリン事件で世界を震撼(しんかん)させたテロ集団の元オウム代表・松本(麻原)被告の死刑判決が報道された日であった。ここで「オウム(鸚鵡)とニワトリ(鶏)」を結びつける冗筆は慎むにしても、オウムには「おうむ病」というのがあって、本来はオウム、カナリア、ハトなどの鳥類の伝染病だが、これは人にも感染する。しかし鳥インフルエンザウイルスは今のところ人には感染しないとはいいながら、浅田農産の隠し事が次から次に明るみに出てくるのだから、その驚きと怒りはピークに達した。
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 そのさ中である。坂口・厚労相が記者会見で「牛(BSE)の次は鶏(鳥インフルエンザ)、“モーケッコウ”だ」と言って口元をゆるめた。なんだって!いまここにきてオヤジギャグか!まさか取り巻きの言葉をおうむ返ししたのではないだろうネ。
 
 ★……烏 「カラスよ、お前もか」である。鳥インフルエンザがついにカラスにまで牙を向けてきた。浅田農産のある京都・丹波町で死んだカラスが見つかり、検査したところ感染がわかった。浅田農産のニワトリと同じ型のウイルスが確認されたのだ。普段でも不吉なあの真っ黒なカラスが地にたたきつけられたようになって死んでいるのを見ると不気味さが加速されてゆく。 
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 まさか、これを受けて坂口・厚労相は「カラスの勝手でしょ」といったオヤジギャグを連発はしないだろうネ。
  
 ★……鯉 世間の関心は鳥インフルエンザに集まっているが、先日、横浜でコイヘルペスウイルスに関する国際シンポジウムが開かれていた。ニワトリの陰でコイの影が薄くなってしまった感があるが、すでに被害は23都府県に広がっているのだ。鳥も心配だが、鯉もまだまだ気になる。このウイルスは人には感染しないようだが、次々に襲うウイルスの反撃は科学万能をあざ笑いながら、人間の傲慢さへのしっぺ返しではないかといった、居たたまれない恐怖感を覚えずにはおれない。
 
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