待合室
2003年9月1日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
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 ★4人に1人  頭痛を訴えて受診する人たちの4人に1人が実はうつ病だったという調査(前野哲博・筑波大助教授)がある。自殺の主因でもあるこのうつ病、子どもの間にも目立ってきて、低年齢化してゆく傾向にあるという深刻な調査(伝田健作・北大助教授)も発表されている。うつ病の実態を把握するのは大変むずかしいとはいえ、うつ病に気づかずに本人も親も学校も悩んでいるというケースが多いという。不定愁訴―うつ病―登校拒否―自殺…この背景には深いつながりがあり、深刻な問題が見え隠れしている。
 
 ★1日に1リットル 体温調節に重要な役割を果たしている。通常、おとなは夏に1日1リットルの汗をかくといわれている。ところが、エアコンの効いたところで汗をかかない生活を送っている人たちは発汗をつかさどる交感神経が鈍ると自律神経も乱れてきて立ちくらみなどにおちいり易い。これがまた登校拒否や出社拒否、あるいは主婦が朝食を作れないといった症状にもつながってゆくのである。
 
 ★6人に1人 糖尿病患者は年間約740万人。予備軍と合わせると約1620万人になるのだが、これは実に成人の6・3人に1人が糖尿病・同予備軍なのである。高齢化や食生活の変化で増える傾向にあり、生活習慣の改善という警鐘が鳴らされて久しいが、なかなか改善の実行に結びつかない。特に予備軍は男性で50代以上、女性では30代以上に増加の傾向があるというのだから、働き盛りを確実にむしばんでゆく。それだけではなく糖尿病は様々な合併症が身も心もむしばんでゆく恐ろしい病気であることも自覚すべきであろう。
  
 ★6〜7割が体験 肩関節の老化のきざしといわれる五十肩。70歳以上では6〜7割の人が五十肩を体験している。なぜか男性より女性、右肩より左肩に多くみられる。症状は急性期―慢性期―回復期の3つの経過をたどるが急性期では激しい痛みを伴なう。夜眠っていても痛みで目が醒めてしまう人さえも。だが、五十肩は年のせいだから仕方がないとあきらめる必要はない。専門医に相談してきちんと対応しよう。 
 ★痛みの9割解消 モルヒネを飲むようになったらおしまいと、がん患者が痛みを限界まで我慢しようとする…心の痛むこんな情景は返上したいものである。がんの痛みは我慢しなくてもいいのだ。「薬を上手に使えば9割の痛みはとれる」(的場元弘・北里大病院麻酔科)のである。痛みを我慢する背景にはモルヒネに対する偏見が患者にも医師にもあるようだ。専門家は言う。「痛みをとるためにモルヒネを服用しても中毒になることはない」(前掲・的場医師)。「モルヒネは効果的な薬。もっと広く使われるべきだ」(武田文和・埼玉医大客員教授)。ちなみに日本ほど服薬の数が多いのにモルヒネだけはオーストラリアの7分の1、アメリカの5分の1。
 
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