待合室
2003年8月1日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
このコラムに関するご意見、ご感想をお寄せください。
 
 
 
 ★サーズまだまだ 最初のサーズ患者が出て8ヶ月弱で終息宣言が出され、まずはひと安心。だが、感染経路、院内感染対策、判定法、治療法、ワクチン開発など深刻な課題を多く残しての宣言である。それに、過剰反応と過小反応が混在していたことも見逃せない、根は同じ。認識不足である。冬の再流行防止にはこれまでの経験に学び、その成果をフルに活用していきたいものである。安心などとても出来ない。
 
 ★国境のない感染症 サーズ終息と思ったら米国で西ナイルウイルスに感染した鳥や家畜が見つかり始めた。昨年は米国で4千人以上がこの病気にかかったが、今年もまた多数の人間を襲うのは目に見えている。日本にいつ侵入してきてもおかしくはない。デング熱、黄熱病、クリミア・コンゴ出血熱などの恐怖もある。治療法は解熱などの対処療法だけであり、サーズ同様、時と処を選ばずに侵攻してくる人類共通の強敵だ。心許してはならない。
 
 ★女と男の悩み事 実際はやせているのに女性の7割が「自分は太っている」と感じ、6割がダイエットをしたという調査(カネボウ)がある。最近、運動選手以上に若い女性が鍼灸に関心を集めているのも、ひたすらダイエットのためという。
 一方、男性はというと髪の毛。気になる人たちにこんなニュースがある。遺伝子発現解析とよばれるバイオ技術を使って突き止めた発髪促進物質入りの育毛剤を発売できるよう「ライオン」が厚生労働省に承認を申請したという。 
 気になって仕方が無いダイエット&髪の毛。さて、さて―。
  
 ★女性外来の開設 これも男女の性差をふまえて。女性スタッフが対応する「女性専用外来」の開設に着手している病院が出始めた。先陣を切ったのは7月29日開設の国立育成医療センター(東京・世田谷)。ここでは16歳以上の女性が対象で従来の診療科にとらわれず、健康管理、生活習慣病、月経不順、性感染症、不妊など幅広く診る。 
 電車に婦人専用車があるなら、病院に婦人専用の外来患者受付があって不思議ではない。むしろ遅すぎた感じも。婦人科以外でも、病状によっては羞恥心もあり、男女の性差を考えた医療体制のあるべき姿が検討され始めたのである。当然であろう。 
 ★乳房よ永遠に これもまた男女の性差をふまえて。乳がんになる女性は年間3万3676人(98年)にものぼり、女性が発病するがんの中で最も多い。これに対して、乳房を切らずに抗がん剤と放射線で治す新たな治療が目指されている。国立がんセンターなど全国20余の病院が10月から臨床研究を始めるという。研究は3年計画で展開されるが、手術をしないで治すことが出来れば画期的な治療法になる。これこそ究極の乳房温存ということになり、美容の面でもメリットが大きい。これに越したことは無い。
 
に戻る
今月のコラム【待合室】へ戻る

 



医療新報MENUへ戻る