待合室
2003年7月25日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
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 ★サーズへの挑戦 厚労省は6月17日、サーズが冬季に再流行する可能性に備え、インフルエンザとの同時流行もかんがえられるので、秋までには対策をまとめることになった。人間の安全保障を守る戦いは続く。これからはこれまでの教訓を生かして対処すべきである。日本でサーズが拡大しないのは、日本人は生活の中で▽手を洗う▽ゴミを分別する▽ツバを路上にはかない▽上下水道が完備していることなどがあげられると、中国の新聞が論評していた。そう、これは是非徹底したい。そして何よりも患者の発生を隠した国は例外なく大流行に見舞われてきたことを銘記すべきである。
 さらに日本は隣国で、しかも当事国である中国とチームを組んで▽診断法▽疫病的な分析▽動物との関係▽ワクチン開発などに果敢にメスをいれるべきだ。すでにその動きは始まっている。専門家は現代の生物工学のレベルを考えれば難しいことではないという。
 
 ★乾燥するからだ 外国旅行の時はペットボトルを携行するが、国内ではついぞそんなことをしたことのない筆者にとって、電車の中で若者たちがバッグからペットボトルを取り出して水を飲んでいる風景に必ずといっていいほどぶつかる。一種のおしゃれかな、はやり(流行)かな…と思っていた。が、どっこい、そうではなかった。これは現代病の一種である「ドライマウス」の現れであるというのだ。ドライマウスはだ液の分泌量が少なくなることで、口の中が乾き、食べ物がのみ込みにくくなるので、水分が手離せなくなってしまう。こんな症状の人は現在、潜在的には100万人以上と推測され、しかも人々に十分に知られていないのが現状のようだ。原因は病気、ストレス、薬の副作用など。心が乾燥するとからだの方も乾燥するという一点に目を据えてこの病気全体を把握する必要がある時代に入ったようである。
 
 ★空気も今や商品 安全と水はタダであるという神話はとうに崩れた。今や空気まで…。そんな時の流れの中で携帯酸素が注目されているという。「ボトル型吸入器1万円」と言う商品が出回っている。ぺットボトルのような容器とヘッドホン型ノズルを管でつないだもの。ボトルに水を入れ酸素発生剤を加えるとブクブクと100%の酸素が出る仕組み。酸素マスクは救急車や病院のものとばかり思っていたら、こうした手軽なものが使われ始めたのである。発売元では「どこでも使えるのが強味。第2のミネラルウォーターになる」と意気軒昂。
  
 ★貧すれば鈍す… 高額医療機器を備えなければ開業出来ないという苦しい事情を何とか解決する方法はないものか。人の命を扱う医療が「貧すれば鈍す」になってはおしまいだ。若い人材が机一つで開業した時に支援するために、高額な機器を開業医が共有するというシステムを拓こうとして頑張っている内科医・医療判断医の寺下謙三氏はこう言う。
「医師は借金してはいけない。心のゆとりを持ってこそ親身で高度な医療に打ち込める」。 
 
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