待合室
2003年3月25日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
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 ★有害物質15倍 東京・調布の小学校での話。新校舎で学べる児童たちは幸せ。―ところがこの建物が児童たちを蝕んでいるのだ。開校を前に検査したところ、シックハウス症候群の原因物質であるトルエンが国の指針値を上回り、最も高いプレイルームでは15倍にもなっているというから驚きである。
 児童の一部が頭痛や咳、目の痛みなどを訴える。「だるい」「疲れた」と学校から帰る哉しゃがみ込んでしまう子や鼻血を出す子も。これはタイヘンと、同校では職員が全教室の窓をあけて外気を入れているといった応急処置をとっている始末。
 この学校を市は「21世紀にふさわしい夢のある学校施設」と紹介する。ハコものを見た目良く造っただけなのだ。「佛造って魂入れず」の最たるものというほかない。この校舎を建てた業者、監督責任のある市教委はどうした!
 
 ★心拍数0 福島県の公務員一家がドライブ中に交通事故に遭った。助手席の娘が脳挫傷による意識不明の重体に。入院5日目の朝、娘は息を引き取った。家族にとって一番辛い場面がやってきた。モニターに表示される心拍数が「0」になった瞬間である。この時、主治医がとんでもないことを言い放った。「これで満足?」(もっとも主治医は「そんな言い方をするはずがない」と全面否定していると、新聞は報じている)。しかし、どんなやりとりがこの時あったのかは断定出来ないにしても、家族が傷ついたことだけは確かであったろう。
 
 ★生存6年 クローン羊の「ドリー」が6歳7ヶ月で死んだ。安楽死である。ウイルス性の肺ガンにかかり回復の見込みがないと判断したという。通常の羊は11〜12歳まで生きる。クローン技術の安全性に新たな問題が浮上してきた。
 一方、クローン牛はいま世界に3千頭以上いるが、その約30%が死産か生後すぐに死んでいる。通常の牛の死産率は5%というから、クローンはかなり高い数値を示している。
 すでにクローン人間が誕生している時代である。クローンの異常の有無や寿命の違いは人間の英知を集めて早急に比較検討する必要があろう。
  
 ★患者2千万人 一気に花粉症の季節がやってきた。約2千万人の患者がいるという。その大半をしめるスギ花粉症は海外ではあまり見られないというから、これは「国民病」というより「日本病」と言ってもいいだろう。
 都市部に患者が多いことなどから原因は花粉だけではなく大気汚染とも関係しているらしい。患者の低年齢化も気になる。最近ではペットにまで。花粉症などのアレルギー疾患を制御できるのは2016年まで待たねばならないという。今年はスギ花粉症の患者が報告されてから40年、「もっと早く!」という悲鳴に似た声が日本列島の各地から聞こえてくるようである。
 
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