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日本では100歳以上の人を「百寿歳」、外国では「センテナリアン」という呼び方がある。医療の進歩で平均寿命が延び、「人生
百年時代」は必ずしも夢ではないのだ。事実、今年の「敬老の日」(9月15日)の時点で、年齢が100歳以上の人が54397人になる見通し
となった。100歳以上の人は、統計を取り始めた1963年以降、ほぼ毎年増加し、昨年、初めて5万人を突破したのである。
今後、100歳を超える人が増加するのは確実で、2050年には約70万人に達するとの予測もあり、100歳のハードルはどんどん低くなってゆく。
このように、健康長寿が謳歌されていく一方で、寝たきりになり易い病気にかかる人が増えているのも確かだ。目をそらすわけにはいかないのである。
全国どの都市も高齢者の急増に対応する高齢者救急に試行錯誤を続けている。これは医療破たんを防ぐための重要な課題なのだが、決め手が見つからないという
のが現状だ。
折しも今年は1963年に老人福祉法が制定されて50年になる。この法律によって、介護施設である特別老人ホームが誕生した。だが、この年、驚くことには特別
養護老人ホームは「定員80人の施設がわずか1施設あるだけ」(63年厚生白書)であった。それが今は7552施設、定員498700人を数えるまでになった。
この数字だけを見ていると、妙に心強いものがうつしだされてくる錯覚に陥るのだが、「福祉元年」と言われたこの年の福祉の実態は、遠い国のそれのように、
まだまだ貧しかったのである。
そんなさ中に、五輪開催招致運動が成功を収めた。56年ぶり2度目の東京五輪は「シルバー社会」における都市の在り方などが問われるものとなる。五輪に
関心のある・なしにかかわらず、日本中がこぞって興奮のうずの中で共鳴した。この異常ともいえる高揚感の向こうにある現実は前回の東京五輪とはまるで様相を
異にしていることを自覚すべきであろう。
このことを数字を並べることで、絶妙に“解説”した一文にお目にかかった。朝日新聞「波聞風問(はもんふうもん)」欄(9月15日)はこう指摘する。
2020年に開催される2度目の東京五輪はこれまでに最も老いた国で開かれる五輪になるであろう。思えば前回の東京五輪が終わってから約20年にわたって110万人
都市が毎年1個ずつ生まれる勢いでのびてきたのであった。その上昇ぶりはみごとであった。だが、今度の東京五輪ではおなじ20年にわたって80万人都市が毎年1個
ずつ消えてゆくペースで人口がへってゆくというのである。
なるほど、前回の東京、ソウル、北京の五輪はいずれも成長期の波に乗る勢いのある祭典であった。だが、56年ぶり2度目の開催となる7年後の東京五輪はこれ
まで最も老いた国で開かれる五輪になるのだ。今、「数字をならべることで」と言ったので、くりかえすようで申し訳ないが、その数字をあらためて羅列しておく。
前回東京五輪後の20年は毎年110万人都市が1個ずつ生まれ
次回東京五輪後の20年は毎年 80万人都市が1個ずつ姿消す
こんなペースで人口は減ってゆく
どうやら、いたずらに高揚感にひたって過ごすわけにはいかないということなのだ。引用した数字は、そのことを明快かつ刺激的に表現している、というものであった。
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