2012年10月15日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
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 ★超高齢化社会を生き抜くために
   

 9月17日の敬老の日に合わせ、総務省が高齢者の人口推計を発表した。それによると、65歳以上が前年比102万人増え、初めて 3000万人を超えた。これはかつてビートルズに熱狂した団塊の世代(1947〜1949年生まれ)が高齢期を迎え、「4人に1人が高齢者」の社会と なったためだ。団塊の世代はかつて高度成長を支えてきたように、いま彼らは超高齢化社会を支えて生き抜くために、何ができるのかを模索 している。世界の国々は一様に高齢化という課題を抱えている。そして日本はその先頭を走っているのだ。

 そんな時、団塊の世代には元気な高齢者が同じ高齢者を手助けする、いわば「高高支援」の意欲がひろがろうとしている。「老老介護」から「高高支援」へと いうわけである。そう、老老介護の日々は心が折れてしまうような雰囲気がどこからともなく落ち込んでくるように思われるが、それだけは避けたい。これはぜひ 乗り越えていかねばなるまい。自分のできる範囲でいい、サポートしたいという心構えや意識の改革を期待したい。これが「高高支援」というものなのだ。

 「老老介護」というと、どうしてもうら寂しくも悲しい状況の中で、誰かに世話してもらっているといった感覚に陥ってしまいがちだが、すこしでも明るく 独立できる状況へとサポートしたいものである。

 団塊の世代は「若い人だけで多くのお年寄りを支えなければならない未来は悲しい。できるだけ同世代で面倒を見合う社会をつくりたい」「老老介護の暮らし ぶりに10年後の自分をみているようで、人ごとではない」などと高齢者の仲間入りした団塊の世代は思う。 お年寄りを抱きかかえて介護するのは難しくても、 年相応にできる仕事はあるはずだ。たとえば、家事に防災に巡回に。あるいは病院への送迎などをサポートする―。こうした人手不足の分野で自分の力を発揮する 事が出来ないか。期待されているはずだ。

 高齢者は商いの世界ではグランド・ジェネレーション(GG=大いなる世代)などと呼ぶそうだ。何の事はない。彼らは元気で、財布のヒモをゆるめ、 オシャレをし、グルメに自ら楽しめる幸せな人たちなそうである。そう、GGのみなさん、どうか必要を超えて畜えずに、国内の温泉あたりでお金を使って 日本経済にGGマネーを回してほしい。そこまでヒモをゆるめるだけの財布を持ち合わせていない筆者のような者にも、こんな川柳には思い当たるふしがあると いうものだ。温泉街の駅前でよくみる情景である。
          ≪かじられた スネ4本が 行く足湯≫

 いまや超高齢社会の真っただ中である。「これからの日本では」と秋山弘子・東大特任教授は言う。「80代、90代の一人暮らしが当たり前の姿になる。そんな 超高齢社会にふさわしい社会の仕組みをどう作っていくかが問われている」と。少しでも体力や財布に余裕のある人は、なかなか思うようにいかない人を、自分に 見合ったもので支援してほしい。コラムはそう呼びかけている。がんばれGG!

 
 
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